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ついに完結。松田優作物語。

 優作ファンなら誰しも隔週火曜日が楽しみだった筈だ。もちろん秋田書店から発行のヤングチャンピオンに連載されていた「ふりかえればアイツがいた!松田優作物語」のことである。原作者の宮崎克氏、作画の高岩ヨシヒロ氏によるこの作品で展開される「知られざる優作のリアル・ドラマ」はグラビアを飾る女の子以上に魅力的で、強く読む者の心を捕らえて離さない。ここでは、友人でありこのマンガの世界を熱心な取材と緻密な描写で生み出している宮崎、高岩両先生に敬意を表しつつ、発売された単行本を少々ご紹介したい。

 

その前に・・・・・
 その前に、私とこの高岩ヨシヒロ先生の出会いについてちょっと触れておく。全ては一通のEメールから始まった。当時彼は宝島社に「風奔る-松田優作物語-」を連載するために資料集めをしていた。優作に関しての書物は現在でもほぼ入手可能だが、映像となるとなかなかそうもいかない。インターネットで検索し、当HPを探し出していただいたのが縁となった。メールで数回のやりとりをし、いくつか資料を提供させていただいた(実は僕はそんなに持っていないんだけど)。そして実際にお会いしたのがLady Jane。その時のことを私はHPにこんな風に書いた。

 待ち合わせは19:30。店がスタートして間もない時間帯できっと客は少ないだろう。私は時間に遅れることに妙に罪悪感を感じる質で、その日も仕事から解放されると同時に銀座線に滑り込んだのだが、それでも余裕はなかった。自分の焦る気持ちとは無関係にオレンジの車体はゆっくりと官庁街の地下を奔ってゆく。しかし約45分後に私の姿は下北沢駅の改札を抜けていた。間に合ったのだ。どういうわけだ?ゆっくりとマルボロメンソールを灰にしながら茶沢通りを歩いた。やがて、いつもの楕円形のネオンが点灯しているのが見えてくる。煙草を捨てると、重々しい雰囲気のする扉を一気に開いた。店内に目を奔らせるがそれらしい人物はいない。コートとデザインケースを店の女性に預ける。と、背中に視線を感じて振り返るとそこに男はいた。優作の指定席と言われている、店に入ってすぐ右脇の小さな席だ。「はじめまして、高岩です。」「川瀬です。」軍の使用するらしい皮のジャンパーとジーンズを纏った男だ。目つきは鋭いが不思議と安心感を与えるという印象を持った。机には、待ち合わせの目印に、と冗談まじりに話していた薔薇の花が置いてあった。
 話、いや語ったという方が適切だろうか。映画、バイク、結婚、酒、生活。それから7時間が経った。お互いの思考がほぼ同じ方向を向いていることに確信を持った。耳に残ったのは一貫して彼が語った「子供っぽいかも知れないけど、"カッコイイもの"が好きだ。でも嘘は描きたくない。そして理解してくれる人が最期の一人でもいるうちは描き続けたい。」本気だ。この男と仲間たちの情熱が、幾多の関係者のインタビューを可能にし、類のない作品を作り上げ、関係者達の理解と読者の共感を生んだ。店を出たのは夜中をとうに過ぎていた頃だった。タクシーにそれぞれ乗り込んで別れた。別れの挨拶はもちろん、「See you!」「Long goodbye!」・・・・・・・・・・・

 そしてそれからは原作者の宮崎克先生や街の仲間も含めて何度となく同じ止まり木につかさせて頂いている。先生の印象は出会ったときとずっと変わらない。真面目に、誠実に、一生懸命なのである。それでは早速作品をご紹介しましょう。

 

 

宮崎克先生、高岩ヨシヒロ先生 優作関連作品の紹介

 

ジャケット タイトル コメント
発行者
発行日
目次
風奔る(かぜはしる)
-松田優作物語-
 若干H系のコミック雑誌「スピードコミック」に連載されていた劇画の単行本。ブラックレインのオーディション風景の描写に始まり、ジーパン刑事としてのデビューから、殉職までを岡田晋吉プロデューサーへの取材を基に構成されている。全編スクリーントーンを使用せず、薄墨にて描かれる優作の世界は迫力満点。また、中には「松田優作を知るための資料」として年譜、太陽〜の作品リスト、出演映画作品がある。これ一冊を発行した後、同雑誌は廃刊。発売から1年を待たずしてこの単行本も絶版となった。
宝島社
1998.10.12.
第一話 翔べ!!世界へ!!
第二話 運命の出会い!
第三話 伝説への序章
第四話 新たなる挑戦!!
第五話 燃えさかる情熱
第六話 ジーパン死す
ふりかえればアイツがいた!
松田優作物語00巻
風奔る編
 秋田書店より新たに連載が開始された「松田優作物語」。その原点というべき「風奔る」が宝島社より秋田書店へと出版契約を移動し、「風奔る編」として見事に蘇った。この手の単行本で00巻という珍しいナンバリングとなったのもこのため。もとの作品に一部手を入れ、下川辰平(=長さん)氏のエピソードも4ページ加えられた。
秋田書店
2000.12.30.
1.Jumping
2.Turning Point
3.The Beginning
4.Challenge Spirits
5.Flare Up
6.The last moment
Ex.Sunny days
ふりかえればアイツがいた!
松田優作物語01巻
 秋田書店へと活躍の場を移し、連載が開始された松田優作物語。その単行本は松田優作事務所「オフィス作」とタッグを組みデザインされた。表紙や内部にも優作の写真が使われている。内容は、ブラックレインの撮影中のエピソードや、桃井かおり氏、「狼の紋章」監督の松本正志氏、撮影担当の仙元誠三氏他のエピソード。エンドクレジットには松田美由紀さん、黒澤満(セントラルアーツ)さんの名前が入った。
秋田書店
2000.2.25.
1.The Night
2.Dinosaur
3.Swordsman
4.The Two Men
5.The Words
6.Brother
7.Give him a light
8.Private eye
9.Start!
ふりかえればアイツがいた!
松田優作物語02巻
 美由紀夫人との出会いとなったドラマ「探偵物語」のエピソードや、大の優作ファンだった岸谷五郎氏、それにひし美ゆり子氏、山西道広氏のエピソードなど。しかし何と言っても脚本家・丸山昇一氏の話が面白い。優作の心のひだに触れられるようなそんな巻である。
秋田書店
2000.3.25.
10.Encounter
11.Mr.SAMURAI
12.Hero without the body
13.Complicity
14.Run after
15.The man from the sparkling planet
16.Friendship
17.Night of the rain
18.Family Play
19.Ordinaly man
ふりかえればアイツがいた!
松田優作物語03巻
 「六月劇場」主催者・佐藤氏が話す「暴力教室」におけるクールスとのエピソードや、澤田監督による優作の初主演作品でのドラマ、さらにギャンブラー荒戸源次郎氏と鈴木清順氏によって生み出された陽炎座の話など。また、音楽面でも非凡な才能を示した優作のエピソードを梅林茂氏が語る。最後は優作を影で支えたスタッフのひとり、照明技師・渡辺三雄氏による優作の天性の勘についての話。作品全体を通じて脂がのってきたことを感じる。
秋田書店
2000.9.10.
20.The Gang Star
21.Shooting!
22.Young Fellows
23.Run over the horizon
24.Gamble
25.Hot Study
26.Spirit of rock'n'roll
27.Flame in the Heart
28.Lighting 1
29.Lighting 2
ふりかえればアイツがいた!
松田優作物語04巻
 「家族ゲーム」プロデューサー・佐々木史朗氏が、もう一人の天才・森田芳光と優作との出会いから作品化の過程を掘り下げる。この作品については出演した宮川一朗太氏も当時の貴重なエピソードを聞かせてくれる。根岸監督は映画「探偵物語」での薬師丸ひろ子と優作の心の交流を、脚本家の筒井ともみ氏は「それから」の脚本を巡る衝撃の出会いを、そして深作監督は実現されなかった渡哲也氏と優作の共演映画について披露してくれる。その他、吉田監督、下川氏など。CM裏話もあり、盛りだくさんの内容。また、高岩氏が実は「探偵物語」公開前に同作品の漫画を書いていたことが氏によって語られる。
秋田書店
2001.2.20.
30.Meeting of Foreigners
31.Real
32.Fly high
33.Natural Heart
34.Beauty
35.The festival
36.Illusion
37.Basara--
38.Mr.Child
39.The Shout!
Ex.Uzumasa
ふりかえればアイツがいた!
松田優作物語05巻
 CM撮影にかけた熱い思い。「人間の証明」での母への思い。殿下こと小野寺昭との出会い。バー「ホワイト」での優作は芸能人ではなく、やはり松田優作だった。森田芳光、原隆仁、中村雅俊、渡哲也。
秋田書店
2001.8.10.
40.Soulful talk
41.Old straw hat
42.Like a gust
43.Eternal wind
44.Dream maker
45.Mother's appearance
46.His eyes
47.The most
48.Crossroad
49.His respect
ふりかえればアイツがいた!
松田優作物語06巻
 ついに最終巻。優作が下関を捨てて出てきた心境を優作の歌う「大阪で生まれた女」の替え歌が教えてくれた。そして同じ命日に旅だった戦友、金子正次。憧れだった優作の世界についに入っていった石黒昭。優作の事を最も理解していた前田哲朗。そして彼の語る吉永小百合とのエピソード。そして、この長い物語の最後は力也によって語られた。優作よ永遠に。
秋田書店
2001.7.15.
50.The sea breeze from native land
51.Straight forward
52.Sugar memory
53.Marebito
54.The only one
55.Elegance
56.Over the sea
57.Never ever

両先生。本当にありがとう!
この続きはまたいつか!

購入方法は・・・・・
 まずはお近くの書店を探しましょう。それでもし書店に品切れの際は、定価に送料を添えて現金書留か郵便振替にて秋田書店販売部までお送り下さい。

■定価:590円/冊
■送 料:1冊〜4冊=160円、5冊〜10冊=450円、11冊以上=550円
■送付先:〒102−8101 東京都千代田区飯田橋 2-10-8 秋田書店販売部
■郵便振替:00130-0-99353
■連絡先:TEL 03(3264)7248

 

おまけ・・・・・
1999年8月24日号のヤングチャンピオンは松田優作物語大特集!リーリーフランキーさんのコピー「忘れるなんて不可能だ」がCOOL。表紙や中に閉じられている優作は今まで世間に出回っていない写真。漫画本編もカラーが取り入れられている。テレカプレゼントや、danceの宣伝、裏表紙はA.M.I.などなどまさに優作一色でした。あたしゃあ二冊買ってしまいましたよ。


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